新型コロナウィルス

新型コロナウィルス感染症について

新型コロナウィルス感染症について

みなさん、ご覧いただきありがとうございます。

このコラムでは昨今、中国・イタリアなどで猛威を振るっておる新型コロナウィルスについてどういうものなのか?ということをお伝えいたします。

少しでも為になるのであればと思いこのコラムを投稿しております。少し難しい言葉もあるとは思いますが読んでみて得することしかありませんので是非ご覧ください。

 

新型コロナウィス感染症について

2020年2月10日
日本ウイルス学会
理事長 松浦 善治
群馬大学大学院医学系研究科生体防御学分野
教授 神谷  亘

中国湖北省武漢市で2019年12月に発生が報告された新型コロナウイルス感染症は、世界各地に感染の広がりをみせておりますが、国内では医療施設、行政等の関係機関により懸命な対策が進められております。
日本ウイルス学会は新型コロナウイルス (2019-nCoV)について正確な情報を提供し、医療施設、一般市民の皆様の予防、対策に役立てていただくことを願っております。

1.ウイルス学的な特徴:

 コロナウイルスはプラス鎖一本鎖のRNAをウイルスゲノムとして有するエンベロープウイルスです。ウイルス粒子は直径 約100-200 nmで、S (スパイク)、M (マトリックス)、E (エンベロープ)の3つの蛋白質で構成されています。S蛋白質は細胞側の受容体(ウイルス蛋白質を鍵とするとその鍵穴)と結合して、細胞内への侵入に必要な蛋白質です。コロナウイルスのゲノムRNAは約3万塩基とRNAウイルスの中で最長なのが特徴です。
ヒトに感染するコロナウイルスとしては、風邪の原因ウイルスとしてヒトコロナウイルス229E、OC43、NL63、HKU-1の4種類、そして、重篤な肺炎を引き起こす2002年に発生した重症急性呼吸器症候群 (SARS)コロナウイルスと2012年に発生した中東呼吸器症候群 (MERS)コロナウイルスの2種類が知られています。
今回発生している新型コロナウイルスは、SARSコロナウイルスと同じベータコロナウイルス属に分類され、新型コロナウイルスの遺伝子はSARSコロナウイルスの遺伝子と相同性が高く(約80%程度)、さらに、SARSコロナウイルスと同じ受容体 (ACE2)を使ってヒトの細胞に吸着・侵入することが最近の研究で報告されています。
すなわちSARSコロナウイルで得られた科学的知見を新型コロナウイルスに応用することで、基礎・応用研究を迅速に行うことができ、新型コロナウイルスのウイルス学的特徴を素早く明らかにすることができます。

2.症状:
この新型コロナウイルスにより、現在(2月8日)までに、全世界で34,896人が感染(その内、724人が死亡)したと報告されています。臨床症状は、頭痛、高熱、倦怠感、咳などのインフルエンザ様症状から、重症例では呼吸困難を主訴とする肺炎に進行します。新型コロナウイルスの致死性は現時点では約1-2%と低いようですが、SARSコロナウイルスの致死率は約10%前後です。もっとも新型コロナウイルスは発生から1か月余りで、SARSコロナウイルスの総感染者数を超えるほど感染が拡大していますので、引き続き厳重な感染防御対策が必要です。

3.治療薬やワクチン:
ウイルス感染症ですから抗生物質(抗菌薬)が無効ですが、まず、解熱や呼吸補助などの対症療法がとられます。そして、ウイルスの感染を抑える抗ウイルス剤として、新型コロナウイルスに有効であると承認された薬剤、そして、もちろんワクチンはありません。先日、本学会員の国立感染症研究所竹田誠部長と松山州徳室長らの研究グループにより、日本で新型コロナウイルスが分離できたことから、今後この分離ウイルスを用いて治療薬やワクチンの開発が飛躍的に進むことが期待されます。

4.検査体制:
新型コロナウイルスの検査はウイルス遺伝子を増幅するPCR法、あるいは定量的PCRにより陽性サンプルの検出が行われています。現在、臨床現場でそのまま使える迅速診断試薬の開発が急ピッチで進められています。

5.自然宿主:
新型コロナウイルスの遺伝子配列は、SARSコロナウイルスに近く、さらにコウモリ由来のSARS様コロナウイルスにも相同性があることから、おそらくコウモリがこの新型コロナウイルスの起源となったウイルスを保持していると考えられています。しかし、この新型コロナウイルスがコウモリから直接ヒトに感染するようになったのか、あるいは、その間に別の宿主がいるのかどうかはまだ不明です。

6.予防:
新型コロナウイルスはエンベロープウイルスですのでアルコールなどで感染力を失うことが知られています。必要以上に恐れる必要はありませんが、手洗い・うがい・マスクなどの基本的な感染症予防を行うことが公衆衛生上重要です。

7.コロナウイルスの今後:
コロナウイルスは様々な動物でその感染が報告されています。SARSコロナウイルス、MERSコロナウイル、新型コロナウイルスのように、約10年ごとに突如出現し、大混乱を引き起こします。今後も新たなコロナウイルスが出現してくる可能が十分考えられますので、本学会としましても引き続きコロナウイルスに関する研究、情報収集に取り組んで参ります。

 

 

手洗いうがいはここでも書いてあるように徹底した方が良さそうです。そして、スマホを触りながらの食事や顔への接触は避けた方が良いでしょう。手洗いうがいを徹底し、顔を手で触らないという意識をするだけでも8割予防効果を向上するでしょう!とアメリカでは一時報道されておりました。みなさまの予防対策にご活用くださいませ。


 

みなさま、お気をつける際の参考にどうぞ。

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